ポルカの発展戦略報告

はじめに

ポルカドットに関心のある皆さん、こんにちは。私たちはポルカドットエコシステム研究所です。私たちは、ポルカドットとそのエコシステムにおける発展機会や見通しを研究するチームであり、ポルカドット国庫から6回連続で支援を受けています。

私たちは、ポルカドットを5年間研究し続けているチームとして、最近コミュニティの中でポルカドットに対する失望の声が増えていることを聞いています。多くの人々は希望を見出せず、ポルカドットエコシステムを離れてしまっています。これは私たちが望んでいることではありません。そして最近、OpenGovがポルカドットに導入され、ガバナンス権がますますコミュニティに移譲されているのを見て、私たちはポルカドットの発展を促進する力になれると感じました。したがって、私たちは以前の受動的な研究の役割から、能動的な参加者の役割に変わることを決定しました。本稿は、ポルカドットがどのように成長すべきかに関する戦略計画報告書であり、その中の多くの見解は私たちの長年の研究成果です。

この記事では、技術や理想だけでなく、市場についても直接言及します。私たちは最も現実的な問題に直面し、改善のアイデアや提案を提示します。当然、私たちは公式フォーラムやコミュニティでポルカの現在の問題に対して積極的に解決策を提示している多くのチームがいることも認識しています。しかし、これらの解決策はしばしば特定の問題に対する単一の対応であり、より全体的な視点から統合的に解決することや、戦略的思想体系の下で複数の問題を統一的に解決することはありません。

皆さんがこの記事の不足点を指摘してくださることを歓迎しますし、実行可能な修正提案をぜひお寄せいただければと思います。私たちの唯一の希望は、ポルカがより良くなることです。共に努力しましょう。

ポルカの現在の状況

過去半年で、ポルカは顕著な進展を遂げ、ロードマップの2つの重要なマイルストーンを成功裏に達成しました。その中で、OpenGovの導入は先進的なガバナンスモデルをもたらし、コミュニティメンバーにより広範な参加と意思決定の権限を提供しました。また、XCM V3のリリースはメッセージングフォーマットを改善し、ポルカの機能性と相互運用性を強化し、将来の発展のための堅実な基盤を築きました。

ポルカネットワークのインフラ構築は依然として強力であり、開発者の活発さが大幅に上昇しています。現在、パブリックチェーンの中で1位にランクインしており、総開発者数も2位に上昇しました。これは、ポルカが引き寄せる開発者の数が引き続き増加していることを示しており、その技術エコシステムへの貢献も増え続けています。

しかし、目覚ましい進展を遂げたにもかかわらず、Polkadotは依然としていくつかの困難に直面しています。DOTトークンの価格は不安定で大きな変動があり、これは投資家やエコシステムの構築者に一定の不確実性をもたらす可能性があります。同時に、ユーザーの活動が減少し、エコシステムプロジェクトの発展が停滞しており、国庫のガバナンスにも解決が急務な問題がいくつか存在しています。

全体として、ポルカは常に革新に満ちた進展の道を歩んでいますが、常に挑戦にも直面しています。

1. テクノロジーアップデート

ポルカは常にその技術と機能の継続的な改善に努めています。今年上半期、ポルカは2つの重要な技術更新を実現し、6月15日にOpenGovとXCM V3を発表しました。現在、ポルカは1.0バージョンの正式な完成を発表し、6月末のPolkadot Decoded2023で、ギャビン博士がポルカの2.0ビジョンを提案しました。

OpenGov：ポルカが導入した新しいガバナンスモデルで、コミュニティの投票と権力のバランスによって分散化を実現し、構造化された実施ライフサイクルを採用しています。Technical Fellowshipは旧来の技術委員会に取って代わり、開発者DAOとして機能します。

XCM V3：クロスコンセンサスメッセージフォーマットXCMの最新バージョンで、Kusamaでガバナンスを通じてアプリケーションが起動されました。XCM V3のリリースにより、外部ネットワークのブリッジ、NFTの移転、資産のロックなどの機能をサポートする革新的な設計がもたらされました。

ポルカ1.0の完全な提供に伴い、ポルカは新たな発展段階を迎えます。ポルカ2.0はマルチコアコンピュータであり、チェーン中心からアプリケーション中心への移行を行い、多くの新しい概念と技術を提案します。

• Accord（協定）：複数のチェーン間での自発的な条約であり、チェーンはその条約を自発的に遵守し、忠実に実行することを保証します。Accordの実現プロセスにおいて、ポルカドットは2つの重要な技術、SPREEとProject CAPIを導入しました。
• SPREE技術：中継チェーンに基づくRuntimeロジックスニペットは、安全なトンネルのように、異なるパラレルチェーン間で情報と価値を安全に伝達できることを保証します。
• Project CAPI：ポルカに基づく分散型アプリケーション（DApp）の開発を促進することを目的としたミドルウェアプロジェクトです。開発者に軽量クライアントソリューションを提供し、良好なユーザーインターフェースを持つクロスチェーンアプリケーションを作成できるようにします。

ポルカ2.0のビジョンにおいて、ポルカはレジリエンス（Resilience）を持つアプリケーションプラットフォームの構築を再確認しました。ポルカはZK原語ライブラリの構築に取り組み、現在、最初のライブラリが完成間近であり、オンチェーンの集団（Fellowship）にプライバシー保護を提供します。ポルカはまた、Hermit Relay、Smoldot軽クライアント、Sassafrasコンセンサス、Internode Mixnetなどの技術の更新に投資します。

さらに、Parityが開発したパラレルスレッド、システムパラレルチェーン、非同期サポートなどの技術も全力でサポートされており、実現を待っています。

2、オンチェーンの状況

この記事執筆時点で、Messariによるポルカドットの2023年第2四半期の報告に基づくと、ポルカドットのオンチェーンの進展は幾度かの浮き沈みを経験しており、以下はポルカドットの第2四半期のオンチェーン状況の簡単な概要です。

開発活動の状況:

• PolkadotとKusamaの開発者の参加度は良好な上昇傾向を維持しており、5月28日と6月16日にそれぞれ613.71と600.29のアクティブ開発者のピークに達しました。
• コアアクティブ開発者の数は3月22日に歴史的最高値の181名に達し、比較的安定しています。
• ポルカドットは、プロトコルとエコシステムにおける提出回数とアクティブ開発者数が最も多く、1位にランクされています。

ユーザーのアクティビティと財政状況：

• 第2四半期のポルカのDAUは、第1四半期の6,290から現在の5,810に減少しました。
• 第2四半期のポルカの収入は12万ドルを超えるから約81,000ドルに減少しました。

パラレルチェーンロックアップバリュー（TVL）：

• ポルカドットエコシステムのDeFiに特化したパラレルチェーンの中で、前6位のムーンビーム、アスタル、パラレル、アカラ、ムーンリバー、カルーラが支配的です。
• パラレルチェーンの総ロックアップ価値は、第2四半期に一時的な上昇の後、4月14日のピークである2.3612億ドルから6月30日の1.4677億ドルに下降する傾向を示しました。

DOTのステーキング率とリターン率:

• 2023年第2四半期のDOTのステーキング率は46％で、理想的なステーキング率を下回っています。
• 現在のリターン率は約9％ですが、ステーキングレートの変化に応じて変わります。

3. 開発者

Electric Capitalが発表したデータによると、2023年上半期において、ポルカは業界で大規模な開発者基盤を持っています。9月17日現在、ポルカには645人のフルタイム開発者がいて、フルタイム開発者数は2位にランクインしています；開発者総数は1923人で、3位から2位に躍進し、昨年と比較して相対的に安定した割合を維持しています。フルタイム開発者は総数の約33.54％を占めています。これらのデータは、ポルカの開発者コミュニティが着実に拡大しており、ポルカエコシステムの発展に重要な役割を果たしていることを示しています。

4、エコロジーの状況

ポルカエコシステムは、クロスチェーン相互運用性と革新的なソリューションを提供することを目的とした、急速に発展し多様化するブロックチェーンエコシステムです。

PolkaProjectの統計によると、現在ポルカに関連するエコシステムアプリケーションは580個あり、Substrateを基盤にしたDeFi、インフラ、NFT、ブラウザ、ウォレット、フォーラムなどが含まれています。

6月15日、XCM V3の導入は広く注目を集め、高度なプログラマビリティ、外部ネットワークとのブリッジ機能、クロスチェーンロック、改良された手数料支払いメカニズム、非同質化トークン（NFT）へのサポートを提供しました。パラレルチェーンのロックされた価値（TVL）において、MoonbeamとNodleはアクティブアカウント数が最も多い2つのプロジェクトで、MoonbeamはこれまでTVLのリーダーであり、Acala、Astar、ParallelなどのパラレルチェーンのTVLも高い水準を維持しています。

スロットオークションは、リレーチェーンへのアクセス権を割り当てるプロセスであり、勝者はパラレルチェーンを運営する権利を得ます。また、ポルカドットエコシステムプロジェクトは、Mythical Games、Kilt、Frequency、Composable Finance、Aventus Networkなど、ますます多くの注目と協力を集めており、顕著な進展を遂げています。

全体的に見て、ポルカエコシステムは着実に成長し発展しており、ロードマップは順調に進んでおり、いくつかの重要なプロジェクトが成功裏に実施されています。

5. 時価総額

現在の日時（10月11日）において、ポルカドットの時価総額は約337.5億ドルで、クリプト市場で14位にランクインしています。過去数ヶ月間は下降傾向にあり、価格は5月初めから6月中旬まで比較的安定していました。全体的に見ると、最近数ヶ月でDOTの価格は31.87%下落しました。

ポルカドットとコスモスはどちらもクロスチェーン通信の問題を解決することに取り組んでいますが、異なる技術的アプローチを採用しています。コスモスと比較して、ATOMの価格は相対的に低い状態にあり、ATOMは今年これまでに約27.42%下落しています（6月には一時的な回復を見せました）。しかし、全体としてコスモスの時価総額は減少しており、現在の時価総額は約25.98億ドルです。

ステーブルコインのLayer2ソリューションへの移行は2023年の大きなハイライトとなり、Optimismがその一例です。OPは2023年に最も成長した暗号プロジェクトの一つで、年初には227%の上昇を記録し、Optimismの現在の時価総額は約10億ドルです。

Arbitrum（ARB）は、取引高が170億ドルを超え、現在の時価総額が10億ドルの注目されている別のLayer2ソリューションです。

6、ソーシャルメディアの状況

ポルカの公式メディアは現在、ポルカの公式ウェブサイト、Kusamaネットワーク、ポルカのTwitter、Web3財団のTwitter、Reddit、YouTubeなどのチャンネルを主に含んでいます。公式ウェブサイトでは、ポルカプロジェクトに関する詳細情報、技術文書、ニュース、コミュニティガバナンス、エコシステム構築などの内容が提供されています。Twitter、Reddit、Mediumなどのソーシャルメディアプラットフォームは、最新のポルカの動向や重要なイベントを発信し、コミュニティの交流や影響力の拡大に利用されます。YouTubeは、ポルカチームの講演、技術共有、コミュニティイベントなどの動画リソースを提供し、ユーザーがポルカエコシステムをよりよく理解するのを助けます。

さらに、技術とポルカドットの未来についてのポルカドットフォーラム、ポルカドットGitHubなどのプラットフォーム、ポルカドットサポートナレッジベースがポルカドットに関するチュートリアルのサポートと助けを提供しています。全体として、ポルカドットの公式ソーシャルメディアは非常に多様で、ユーザーにさまざまな参加と交流の方法を提供しています。これはコミュニティの合意を強化し、影響力を拡大するために非常に重要です。

7. 財務ガバナンス

OpenGovはポルカドットが導入した新しいガバナンスシステムで、2022年11月にKusamaネットワークにローンチされました。ガバナンスの効率を向上させ、コミュニティの参加を促進する上で重要な利点があります。しかし、OpenGovは投票率の不均衡や国庫支出の速さなどの課題にも直面しています。

効率的なガバナンス処理：従来のガバナンスシステムGov1と比較して、OpenGovはガバナンスシステムの運用効率を向上させ、公投を並行して処理できるようにし、公投の数が多く、大幅にガバナンスの効率を向上させました。

現在OpenGovのガバナンスにはいくつかの問題があります：

投票率の違いが顕著である：異なるトラックの住民投票の投票率には明らかな違いがあり、特に国庫支出に関連するトラックの投票率は低い。このため、一部の国庫資金がコミュニティの十分な注意が払われないまま使われる可能性がある。