中国経済の「ダッシュボード」を理解する


—— マクロデータの霧を突き抜けるには?
車の運行状態を判断するのにエンジンを分解する必要はない。
スピードメーター、回転数計、燃料計、水温計を見て、警告灯を一目見れば、ベテランドライバーはおおよそ把握している。
一国の経済も同じだ。
経済システムは車よりはるかに複雑だが、重要な指標では「状態を露呈」する。
GDP、雇用、インフレ、財政、工業、価格、資産市場……
これらが国家経済のダッシュボードだ。
中国は規模が巨大で、構造も非常に複雑な経済体だ。
正確に運行状態を判断するには、単一のデータだけを見るのでは不十分であり、数字の表面だけに引きずられてはいけない。
この記事は一つのことを試みる:
👉 最も重要なマクロ指標をわかりやすく解説
👉 「指標の意味」から「統計方法」へ
👉 そして「偏差、欠陥、疑わしい点」へ
👉 中国経済の本当の脈拍をできるだけ見極める手助けをする
この記事は経済活動の基本面に焦点を当てており、他の指標については後続の記事に譲る。

一、GDP:中国経済の「総合パワー計」
市場感度:★★★★★
指標の意味
一定期間内に、ある国が生産したすべての最終製品とサービスの市場価値。
発表機関:国家統計局
発表時期:

四半期初期計算:四半期終了後約15日

年度初期計算:翌年1月

年度最終確認:翌年1月の公表

データの信頼性:
国家GDP > 地方GDP

なぜGDPは重要なのに完全には信用できないのか?
GDPは中国経済の中で最も重みがあり、政治的意義も最も大きい指標だ。
経済規模を反映するだけでなく、政策評価や官員の評価にも直接関係している。
だからこそ——
👉 地方GDPには長らく「水増し」の動機が存在
👉 歴史的に「全国GDPの合計>国家GDP」は冗談ではなく事実だった
2000年以降、統計システムの整備とクロス検証の強化により、
国家レベルのGDPの信頼性は地方データより高まったが、それでも割引が必要だ。
統計方法の根本的な欠陥
中国のGDPは主に生産法で計算され、収入法と支出法で検証される:

生産法:
GDP = 総産出 − 中間投入

収入法:
GDP = 労働報酬 + 産税純額 + 減価償却 + 営業余剰

支出法:
GDP = 消費 + 投資 + 純輸出

理論上は三つの方法は一致すべきだが、実際には「できるだけ近づける」しかない。
最大の問題は:サービス業の過小評価だ。
小規模サービス業、灰色経済、プラットフォーム経済は統計が非常に難しく、漏れも頻繁にある。

GDPの「文字遊び」の核心的な源泉
国際比較において、GDPは最も乱用されやすい。
一般的な口径には以下がある:

現価-本位通貨-GDP(国内ではこれを避けられない)

不変価-本位通貨-GDP(実質成長)

現価-ドル-GDP(為替レートの歪みに最も影響されやすい)

不変価-ドル-GDP

PPP-GDP(購買力平価)

👉 異なる口径では、結論が完全に逆になることもある
典型例:
ロシア:名目GDPは「ますます豊かに見える」が、実際には景気後退に陥っている

ドイツ vs 日本:2023年にドイツの名目ドルGDPが日本を超えたのは、円の暴落が原因

結論一言:
GDPの口径を明確に比較しないのは、詐欺と同じだ。

二、公式PMI:経済の「先行警報灯」
市場感度:★★★★★(先行指標)
発表機関:
国家統計局サービス業調査センター + 中国物流購買連合会
信頼性:高
なぜPMIがこれほど重要なのか?
PMIは企業側から直接得られ、地方政府を迂回しているため、
経済の「冷暖」を観察する第一のシグナルだ。
PMI =

新規受注(30%)

生産(25%)

雇用(20%)

配送時間(15%)

原材料在庫(10%)

50は生死ライン:

>50:拡大

<50:縮小

中国の製造業PMIは3200社、31業種をカバーし、
非製造業のサンプルは4300社に達する。
📌 注意事項:
春節や国慶節期間中はPMIの変動が非常に大きいため、慎重に解釈する必要がある。

三、貨物輸送量:実体経済の「血流速度」
市場感度:★★
信頼性:高
貨物輸送量はGDPと高度に連動しており、
経済が「本当に動き出している」かどうかを判断する堅実な指標だ。
GDPは修辞的に語れるが、トラックはそうはいかない。

四、財政収支:政府の「アクセル踏み込み度」
市場感度:★★★★★
注目ポイント:
👉 一般公共予算収入 / 支出
👉 財政赤字規模
赤字が大きいほど、刺激策も強力になる。
歴史的経験:
2008年:赤字率はGDPの約3%に迫り、強い刺激策を実施
現在:財政の余裕は明らかに制限されている
⚠️ 中国特有の注意点:
年初に抑え、年末に大きく使う
11–12月の財政の市場への影響は顕著だ。

五、工業増加値:GDPの「月次代替品」
市場感度:★★★★★
GDPの約30%を占め、
景気動向を観察するための高頻度のコア指標だ。
唯一のポイントは:前年比増加率が予想から乖離しているかどうか。
乖離があれば、株式市場は即座に反応する。

六、PPI:企業利益の「気圧計」
市場感度:★★★★★
PPIは次のことを反映する:
👉 工業企業に価格設定権があるか
👉 利益の余裕が拡大しているのか縮小しているのか
PPI↓ + CPI↓ = デフレリスクの上昇

七、CPI:インフレとデフレの「最終裁判」
市場感度:★★★★★+
CPIの算出は非常に複雑で、重み付けも不透明だが、
常に議論の的となっている。
実際の影響は非常に大きい:
👉 デフレ → 政策緩和
👉 インフレ → 政策引き締め
現在の中国最大の問題はインフレではなく、
むしろ——デフレ期待の固定化だ。

八、中証全指:上海証券取引所指数よりも実態に近いA株の晴雨計
なぜ上海総合指数を使わないのか?

範囲が狭い

新規上場の仕組みが歪める

長期的に歪む

一方、中証全指は上海・深センのA株全体をカバーし、
中国株式市場の真の姿を映し出している。
📈 データの事実:
2004 → 2025

年率リターン ≈ 9.96%
中国経済がダメなわけではなく、指数の見方を間違えているだけだ。

最後に
マクロデータは「信仰」のために使うものではなく、
クロス検証や相互検証のためにある。
真の判断力は、
これらの数字がどのように導き出され、どのように騙す可能性があるかを理解しているかにかかっている。
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