スターリングが下落、英国のインフレ率が予想よりも早く冷え込み3.2%に

ポンド・スターリングは水曜日に大きな下落圧力にさらされ、予想を下回る英国のインフレ指標の発表を受けて、米ドルに対して1.3340付近で0.5%以上下落し取引されました。これは、前日の1.3450を超える2か月高値からの急反転を示しており、通貨市場の不確実性が高まっていることを示しています。

ポンド売りの引き金は何だったのか?

英国の11月消費者物価指数(CPI)は前年比3.2%となり、予測の3.5%や10月の3.6%を大きく下回りました。エネルギーや食品などの変動の激しい項目を除いたコアインフレも、予想の3.4%を上回る3.2%で、より緩やかなペースとなりました。特に注目されたのは、見出しインフレ率が前月比0.2%のマイナスとなり、予想の変わらずを反して実質的に下落した点です。

英国の金融政策担当者が特に注目するサービス部門のインフレ率は、前回の4.5%から4.4%に鈍化しました。雇用データの弱さも相まって、英国の失業率は10月までの3か月間で5.1%に上昇し、約5年ぶりの高水準となっています。これらの数字は、今週木曜日の政策会合で英国銀行(BoE)が利下げを行うとの見方を強めています。

市場の反応:労働市場の弱さにもかかわらずドルは反発

興味深いことに、米ドルは労働市場の兆候が弱まる中でも急反発しました。ドルは98.00付近の10週ぶりの安値から反発し、米ドル指数は0.4%上昇して98.60付近で推移しています。この堅調さは、11月の非農業部門雇用者数が64,000人増加した一方、10月には105,000人の削減があったことや、失業率が4.6%に上昇したこと(2021年9月以来の高水準)によるものです。

市場参加者は、歴史的に長引いた米政府のシャットダウン期間が季節的な雇用パターンを歪めたことが、弱い雇用データの主な原因と見ています。そのため、連邦準備制度(Fed)の利下げ期待は抑えられたままです。CME FedWatchツールは、1月の会合で連邦準備制度が金利を3.50%-3.75%の範囲内に維持すると示しています。

11月の米国消費者物価指数(CPI)の発表は、木曜日に予定されており、Fedの金融政策の見通しを形成する上で重要となるでしょう。関係者は、過度な利下げを行うと、2%の目標を超えるインフレ圧力を再燃させる懸念から、さらなる利下げには慎重な姿勢を示しています。

テクニカル分析:GBP/USDのホールドパターン

テクニカル的には、水曜日の調整にもかかわらず、GBP/USDは上昇バイアスを維持しており、価格はまだ20日指数移動平均線(1.3305)を上回っています。14日相対力指数(RSI)は56に低下し、買われ過ぎ圏から後退しており、弱気の勢いが少しずつ出てきていることを示唆しています。

フィボナッチレベルは重要な価格指標を提供しています。50%リトレースメントは1.3399に位置し、短期的な抵抗線となっています。一方、38.2%のレベル(1.3307)を下回る日次終値は、売り圧力を加速させ、1.3200付近への下落を促す可能性があります。上昇面では、火曜日の高値1.3456を取り戻すことが、心理的な1.3500の壁を試す展開となるでしょう。

今後の展望:ポンドにとって重要なポイント

木曜日の英国銀行(BoE)の金利決定は、ポンドの動きにとって短期的なきっかけとなるでしょう。市場ではすでに利下げが広く予想されており、これが即座にポンドに重くのしかかる可能性があります。その後は、インフレの低下スピードや英国の雇用状況の安定性を注視することになるでしょう。

通貨トレーダーにとって、GBPとUSDの動きは、BoEとFedの政策の比較に依存しています。BoEが緩和に向かう一方、Fedがタカ派の姿勢を維持する中で、金利差は引き続きポンドの価値を圧迫し続ける可能性があります。現行の為替レートでは、1ポンドは約1.33米ドルの価値があり、630ドルをポンドに換算すると約473ポンドとなります。これは、通貨ペアのエクスポージャーを追跡する投資家にとって有用な目安です。

ポンド・スターリングは、紀元886年からの世界最古の通貨であり、世界の外国為替市場で取引される通貨の4番目に多い取引量(1日あたり約6300億ドルの取引量の約12%)を占めており、金融政策の乖離や経済データの流れに非常に敏感です。

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