契約取引をやったことがある人なら、あの悔しい気持ちがよく分かるはずだ——方向はピタリと当てているし、価格も自分の予想通りに動いているのに、口座残高はまるで滑り台のように下がっていく。「運が悪かっただけ」と思いがちだが、実は市場のルールにしっかり刈り取られているだけなんだ。

あの年のETHロングでの失敗は今でも思い出すと痛い。当時は「ブル相場が来た」と思い、全力でロングに突っ込んだ。価格は見事に上昇し、含み益は1,500ドルから5,000ドルまで跳ね上がり、興奮しすぎて夢見心地だった。「この波で一気に倍増だ！」と頭の中はそればかり。だが結果は？一本の大陰線が槍のように突き刺さり、即座にストップロスにかかってポジションが一瞬で蒸発。気がついた時には相場はもう反発していて、画面上の強制ロスカット通知をただ茫然と眺めるしかなかった。

後になってようやく分かった。契約取引は「方向さえ合っていれば楽勝」というゲームじゃないんだ。本当に試されるのは、ルールの理解度、タイミングのコントロール、そしてメンタルの安定だ。自分は値動きを賭けているつもりでも、実際はロスカットラインや資金調達率、スリッページなど見えない刃と戦っているだけ。市場は君が稼ぐことを邪魔しないが、罠はしっかり用意されている——少しでも利益が出るとすぐ逃げたくなり、ちょっとでも損が出ると一気に爆損。

本当に安定して勝っている人たちは、とっくにロジックを整理している。予想ではなく確率で勝負し、値動きを追いかけず、ポジション管理を徹底する。ポジションを取る前にまず考えるのは「いくら儲かるか」ではなく「最大どれだけ損するか」だ。

8万の元本が吹き飛んだ後で、やっとあの古い格言の意味が腹落ちした。「契約取引で大事なのは直感じゃなく、理性とルールへの畏敬」だと。今は毎回注文を出す前にリスクをきっちり計算し、一夜で大金持ちになる妄想はしなくなった。考えるのは「どうやって生き残るか」だけ。この市場では、生き残ってこそ初めて利益を語る資格がある。

多くの人は努力が足りないんじゃない、やり方が分かっていないだけだ。君がダメなんじゃない、まだルールを掴み切れていないだけなんだ。