国債利回りが急騰しているのに、応札倍率が急増していることにまだ疑問を持っている人がいるようですね——端的に言えば、オークションの仕組みをきちんと理解していないだけです。

別の角度から考えてみましょう。あなたがオークション会場で花瓶を見るとして、開始価格が50万円、誰かが51万円と入札し、あなたが52万円を叫ぶ——これはセカンダリーマーケットのやり方で、公開で値段をつけて、一番高い人が商品を手に入れます。

でも、国債の入札はこれとは違います。ブラインドビッド方式で、各機関が金額を書いて箱に入れ、お互いの価格は見えません。市場がこの花瓶は51万円と予想していると仮定しましょう。しかし、いざ開けてみると：50万円と書く人もいれば、49万円、さらには48万円とする人もいる……

本来なら51万円を出してすぐに手に入れるべきですよね？でも問題は——花瓶を買う目的は何ですか？転売して差額で儲けるためですよね。51万円で買ってまた51万円で売ったら、手数料を引かれて損をします。そんなことをするのは馬鹿だけです。

だから表面上は多くの機関が参加しているように見えますが、実際にはみんなが腹の中で計算をしています。「急いで手に入れる必要はない、安く買えたらラッキーだ」という感じです。この時点で競っているのは、市場価格ではなく「誰がより我慢できるか」です。

それなのに、なぜ多くの人が殺到するのでしょうか？日本国債を例に挙げると、価格が下がり続けて利回りがどんどん上がっている状況で、機関投資家たちは「これはお金が転がり込むチャンスでは？」と考えます。みんな「うまくいけば儲かるし、低い価格で入札しても損はしない」と思っているので、参加者が増え、応札倍率も自然と上がるのです。

結局、これは市場が狂っているわけではなく、人の心理が駆け引きしているだけなのです。