イタリアのテック業界で何か興味深い動きが起きている。あるステーブルコイン発行者が、イタリア技術研究所（IIT）から生まれたスピンオフ企業、Generative Bionicsに資本を投入し、次世代ヒューマノイドロボットの開発を支援したのだ。これは典型的な投資行動とは言えないが、むしろそれが狙いなのかもしれない。

注目すべきはハードウェアだけではない。その根底にあるビジョンだ。ローカルのオンデバイスAIとプログラム可能なマネーの組み合わせ。ロボットがクラウドに依存せずにローカルで知能を実行し、ビットコインやUSDTで自律的に取引を決済する。決済インフラが機械の体に組み込まれているイメージだ。

この融合は意図的に感じられる。ロボティクスはリアルタイムの意思決定を必要とし、暗号資産は検閲耐性のある価値移転を提供する。これらを組み合わせれば、機械が動くように自然に取引を行う世界が見えてくる――仲介者も許可も不要だ。ヒューマノイドが自分で部品を注文したり、サービスロボットが直接料金を回収したり、そうしたインフラが急に現実味を帯びてくる。

これが当初の構想通りに実現するか、全く別の方向に進むかはまだ分からない。しかし、この投資はAIと分散型金融の交差点をどこに見ているのか、一部のプレイヤーの考えを示している。つまり、中央集権的なプラットフォームではなく、ネイティブな経済機能を備えた自律的なエージェントへと向かっているのだ。